奈良県吉野へダム見学の旅
5月17日から5月18日にかけて奈良県の吉野を旅行してきました。
主たる目的は大滝ダムの見学です。
大滝ダムは奈良県吉野郡川上村の一級河川・紀の川本流上流部に建設されたダムです。
1959年の伊勢湾台風で毎秒7000トンと言う洪水水流量を記録し、下流で甚大な被害を出したことを受け治水を目的に建設が進められました。
1962年に計画が発表されましたが補償問題や事故などを経て計画から34年もの長い時間を経て1996年、ようやく着工にこぎ着けました。
私がこのダムのコンクリート打設を行うケーブルクレーン制御システムの開発に参加するのは1997年。ほぼ半年の期間を掛けて設計から開発、現地テストを行いました。
大滝ダムは全高100メートル、全長315メートル、有効貯水量7600万立方メートルの重力式コンクリートダムで、日本国土開発、熊谷組、太豊建設のJVにより建設が行われました。
下の写真はケーブルクレーンの軌道敷です。この軌道敷は「クロベエキ」と呼ばれていて、あの黒部ダムの建設に使用した物を移設した言われます。
真ん中の建物が左右に移動する移動基部です。この中には数種類のケーブルを制御する大型モーターなどがあり、ケーブルクレーンシステムはこのモーターやこの移動基部自体の走行をコントロールするものでした。
大滝ダム資料館
どこのダムにもこう言う資料館がありますね。
今回も元気に走ってくれたSLK。
今夜の宿は川上村にあるホテル杉の湯。
このホテルは20年前、システムのテストの時に7日間滞在した懐かしいホテルです。
当時、滞在五日目の朝のこと、支配人が申し訳なさそうな顔で近寄ってきました。
「お客様、実は四日以上も連泊された実績が無くて、夕食のお料理が一巡してしまうのですが・・・」
そんな支配人に私は「構いませんよ」と笑って答えました。
元請け(東芝)の社員さん達が麓の民宿に滞在していたのに、私はダム近くの割烹ホテルに滞在していたために毎晩のように会席料理を堪能していた訳です。(^^)
彼らが一度私の宿泊先を訪れたことがありましたが、自分達は6畳間に3人と言う待遇なのに差がありすぎだと文句を言ってました。
これは先日の部屋ですが、実際のところ当時の状態はこの部屋にデスクトップコンピューター2台とプリンターなどを運び入れ、書類などが山積みになって居ましたし、ホテルに戻るのが翌朝だったりとかなり不規則な日々が続いていました。それでも、戻った後に入る温泉は疲れを癒やしてくれて助かりました。
運転疲れか夜9時には爆睡・・・。翌朝の窓からの景色。
かつてこの水の下に村落があり、今は水没しています。
さて、吉野と言えば修験道の祖である役行者が開いた金峯山寺があります。
今回、仁王門が改修中で奇麗な写真が撮れませんでした。
むむむ残念。
国宝の蔵王権現本堂。
ちらとしか写っていませんが、ここの僧達は頭に頭襟と呼ばれる帽子を付けています。天狗の頭に載ってるやつです。皆さん、修験者なんですね。
護摩祈祷。
この日、本堂内の見学(入場料500円)をしていると近畿大学付属小学校の児童達が遠足に来ていて学業祈願の祈祷が偶然行われることになり、私はラッキーなことに真横からこれを見学することができました。始めて見た護摩祈祷、和太鼓と法螺貝、そして僧達の唱える読経の織りなす独特な空間に感動しました。
ちなみに、写真(借物)には本尊が写っていますが通常は一般公開されていません。千手観音、釈迦如来、弥勒菩薩の3体が過去、現在、未来を表しているそうです。
読経を聞いていると何やら般若心経と真言が混ざったような感じがしました。
般若心経は元々は真言を新たに解釈し直したものだそうです。
所謂、原典のサンスクリット語による「のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん」みたいなのを漢字に変えて日本語読みにした感じでしょうか。
私の認識では護摩祈祷は真言密教だと思っていたのですが、他の宗派でも太鼓を叩いたりするのは珍しくないようです。また般若心経は日蓮宗と浄土真宗を除く多くの宗派で使用されているとか・・・。
そもそも修験道は日本に仏教が伝わる飛鳥時代以前からあったもので、それが仏教と融合されていったものだそうです。
蔵王権現は唯一インドに由来を持たない日本独自の仏教形態なのだそうです。
まあ、この方面は素人なのでこの辺で・・・。
この後、帰路につくのですが前から予定していた伊賀上野城に寄り道です。
今回は天守閣には登りませんでした。
その替わり、伊賀と言えば忍者です。
忍者資料館と忍者ショーを見学しました。
どこかから移築されたと言う本物の忍者屋敷を忍者のお兄さんに案内してもらいました。
最近は国際色豊かな看板もあり。
観客席には欧米人も居ましたが圧倒的に多かったのはやはり中国人。今回はどこかの学校の旅行みたいで若い人達が大勢いました。みんな忍者ショーを見て感激していた様子でした。
特に欧米人は忍者が好きですよねぇ。まあ、私も嫌いではありませんけど。