ぽこにゃん積水ハウスの里楽で平屋を建てる

2016年の7月に積水ハウスの里楽で平屋を建てました。
神奈川県のど真ん中に敷地130坪、延床43坪の家です。始めての庭造りや家庭菜園に悪戦苦闘しています。
趣味の釣りなど、遊びや日常のことも書いていきます。

形に残る仕事

今日は少しだけ昔の仕事について書いてみたい。


以下の写真は奈良県吉野郡川上村、一級河川・紀の川本流上流部に建設されたダムである。名称は大滝ダム。2002年に本体が完成している。

当時の建設省近畿地方建設局の発注により熊谷組、日本国土開発などのJVにより建設が行われた。


形に残る仕事として私が関わった最も巨大なものがこの大滝ダムである。

写真の右手に赤い鉄骨の構造物が見える。これはケーブルクレーンの軌道敷である。


ゲーブルクレーンとは概ね以下のような代物である。(図は拝借したもの)

簡単に言うと巨大なUFOキャッチャーみたいなものである。

このクレーン、大型ダンプでも余裕で釣り上げられる。最も太いケーブルは直径20センチに及ぶ。


1990年代、つい最近までサザエさんのスポンサーだったT社の協力会社だった私の会社にT社の子会社から仕事の依頼が舞い込んだ。


仕事の内容は以下の通り。


1.ダム建設の為の打設計画システムの開発
2.ケーブルクレーンの稼働状況のイメージ化
3.打設実績のデータベース化


説明すると。
1.ダム打設の為の打設計画システムの開発


ダムと言うものは5m×5m×1m(現場によって異なる)の型枠を平面上に並べてそこにコンクリートを流し込んで固める。これをダムの高さになるまで何層も積み上げて行く。コンピュータの平面上で何層の何マスに何時コンクリートを流し込むかと言う計画を事前に行う。打設用コンピュータはこの座標データを元にケーブルクレーンを使ってコンクリートを流し仕込む。打設計画システムとは建設計画に基づき、層別のマス単位の打設予定を組み上げるためのシステムぶある。それを画面上でマス目をクリックして日時を指定していく。もちろん、打設漏れなどのチェックや工程の進捗も管理できなくてはならない。


2.ケーブルクレーンの稼働状況のイメージ化


上の図のケーブルクレーンは1次元、つまり直線上の移動しかできないタイプであるが、私が任されたケーブルクレーンは二次元タイプ、つまり面としての動きをするものだった。2枚目の写真の赤い軌道敷はクレーン基部が線路上にあり水平方向へ移動するタイプの物であった。すなわち、イメージ化に伴い横から見た図と上から見た図の二つを画面上に表示しなくてはならなかった。WindowsNTがリリースして間もないこの時期、マシンパワーも低く、グラフィック機能が弱かった時代にこれを実現するのは結構難題と言えた。


3.打設実績のデータベース化


実際に打設が始まった時に、コンクリートプラントから使用した資材の実績データを取得して記録していくシステムである。これにより、建設における予実管理が行われる。


以上、この三つの要件を盛り込んだシステムを4ヶ月で作れと言うものだった。


この時、社員の殆どは他社に出向していた私の会社で唯一開発が可能だったのは私一人だった。このチャンスを逃してはならじと奮起した社長の私はこれを受注した。3ヶ月間は自宅に殆ど帰らず会社に泊まり込み寝る間も惜しんで設計と開発に取り組んだ。
そして、T社子会社の打設用コンピュータとの接続テストを繰り返し、疑似データをっかってケーブルクレーンの監視映像も正確に表現出来ることを確認した。


そしてT社子会社のメンバーと共に1月、氷点下の工事現場に乗り込んだ。近くにある割烹ホテルの部屋に開発PCを運び込み、7日間に渡る現地調整を行うことになった。
調整は順調に進み打設計画の支持データに基づきケーブルクレーンが指定位置に移動してコンクリートを放出する疑似テストも無事成功した。
しかし、ここで突然にゼネコンから依頼が入った。山腹にあるゼネコンの事務所で行う打設計画データをモデムを使って遠隔地の制御棟に送りたいと言うものだった。
断ることも出来ず、その場で急遽モデム通信とデータ転送のシステムを開発することになった。もちろん、追加の発注をいただいたが・・・。
結果的に7日の予定が10日に伸びてしまった。


泊まっていた割烹ホテルの支配人が料理のメニューが一巡してしまうことを詫びたのは笑い話である。また、T社子会社のメンバーが山裾の民宿に泊まっていたが、私のホテルの部屋を訪れて驚いていた。彼らが6畳の和室に3人ずつ寝泊まりしていたのに対して、私は20畳ほどのセミスイート(他に空いてなかったから仕方が無い)に一人で泊まり、毎晩会席料理を食してたからだ。(笑)


私はこのシステムを使って実際にダム工事が行われている様を見ていないが、完成したダムの写真や未だ撤去されていないケーブルクレーンの軌道敷の写真を見ると感無量である。形に残る仕事をしたことはとても満足である。


その後、青森県のダム工事向けの仕事を受注した。これは大滝ダムが肩軸のみが軌道敷に対して両軸が軌道敷と言うカスタマイズであった。このシステムでは現地に調整に行っていないのでダムの名前は覚えていない。しかしながら、開発時に埼玉にあったT社子会社の社員寮に2週間監禁されて開発していたことだけは覚えている。(笑)


完成から16年が経過しているが、未だにこの大滝ダムを見ていない。そのうち一度行ってみようと思っている。




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