ぽこにゃん積水ハウスの里楽で平屋を建てる

2016年の7月に積水ハウスの里楽で平屋を建てました。
神奈川県のど真ん中に敷地130坪、延床43坪の家です。始めての庭造りや家庭菜園に悪戦苦闘しています。
趣味の釣りなど、遊びや日常のことも書いていきます。

痛い話は続く

30代の頃、丁度湾岸戦争が開戦になった頃。


私は川崎の溝の口にある神奈川サイエンスパークと言う施設でシステム開発の仕事でチームを率いて通っていた。


そんなある日、同僚達と昼食を摂って居る時になんの拍子か舌を思い切り噛んでしまったのだ。その痛いこと、昔の人は舌を噛んで死んだと言うが、噛んでからきっと後悔したんだろうなと思ったりした。


鏡に向かってベーっと舌を出してみると噛んだ付け根のところが腫れて出血している。


人間、噛んだと気づいてもすぐに止まらないもので、例えば缶コーヒーの蓋が開けているにもかかわらず振ってしまい、缶からコーヒーが飛び散ってしまう。飛び散ってる自覚はあるがその手が止められないのと同じこと。(私だけかな?)


そしてその夜。


女房が刺身のセットを夕飯のおかずにと買ってきた。


マグロだったかカツオだったか・・・そんなことはどうでもいい。


痛い痛いと言いながら刺身を食べたのだが、これがいけなかった。


翌朝、洗面所で鏡に向かうと右側の喉が少し腫れている。触ると熱を帯びている。


とは言え、特に支障もなく、噛んだ舌の痛みも殆どなくなっている。


その二日後、物を飲み込む時に喉に痛みが走るようになる。


喉の腫れは酷くなり、顎の線と同じくらいに太くなっていた。


周囲の人達から病院に行けと忠告を受けたが、リーダーと言う立場から職場を離れる訳にもいかず、痛みを堪えて食事をしていた。そのうち治るだろうと思ったのだ。


しかし、三日後、とうとう痛みで何も飲み込めなくなった。


鏡の前で口を大きく開けて喉を見ると、小指がやっと通るくらいの穴しかなく、喉ちんこもない。声帯より外側が腫れているようだった。その証拠に発声は出来ていた。腫れはさらに酷くなり、顔も腫れてきて徐々に話すことも困難になっていた。


みんなに見せて回る。すげーだろ!!(笑)


さすがに顧客のチーフも見かねて早退して病院に行ってくださいと言ってくれた。


好意に甘えて川崎の自社に一端帰ってから近くの咽喉科を訪ねた。


年配の女医さんがいる病院だった。えええっ。あんた70才は超えてない?


診察を受けると


「良くここまで我慢したねぇ。もっと早く来ればいいのに」


と言われた。


すぐに切ってもいいけど、今晩一晩良く冷やして腫れが引くようなら切らずにすむかも知れないと抗生剤を出して貰い、この日は一端帰宅した。


手術なんてごめんだ。それこそ一晩中氷嚢に氷を入れて必死に冷やしまくった。


翌朝、見た目にはなにも変わっていない。


顧客に電話を入れて通院するので休むと連絡を入れた。


病院に到着して再び診察を受ける。


「う~ん。変わってないねぇ。リンパが腫れて喉に膿が溜まって腫れてるのよ。これを吸い出さないと駄目だね。切らないと明日には喉が塞がっちゃうよ」


「何が原因ですかねぇ」


「舌噛んだって言ってたよね。そして、その晩に刺身を食べたと」


「はい」


「傷口から刺身の雑菌が入ってリンパが炎症起こしたんだよ」


と言いながら器具をカチャカチャと準備している。


「切るんですか?」


「切れば、夕飯は普通に食べられるよ。どうする?」


って、切る気満々じゃねえかよ。


ステンレス膿盆と言うんだそうだが、写真の金属製の皿を二つ持って近づいてくる。

一つにはメスやハサミ、ピンセット、ガーゼが乗せてある。


「これを胸の前で持ってなさい」


ともう一つのステンレス膿盆を手渡される。


女医はメスを持って口を開けろと言う。


「あの・・・麻酔してないんですけど・・・」


とビビる私。


「そこまで腫れると麻酔は効かないから」


本当かよう。気休めでもいいから掛けてくれよう。頼むから。


「はい。口を大きく開けて、腹筋に力を入れて。辛抱しなさい、男でしょ!!」


いやいや、この際男じゃなくてもいいです。(涙)


ううう。完全に来る病院を間違えたと後悔する。もっと大きな病院はいくらでも駅前にあったのに、なんでここに来たのか自分を呪っても後の祭り。


「ギャッ」


喉に激痛が走る。女医が喉の中をメスで切り開いたのだ。


「ババア、この人殺し~っ」と叫びたいが口が使えない。


他の場所なら歯を食いしばるとかできるし、手が自由なら拳をぐっと握りしめることも出来る。しかし、手術は口の中、両手はステンレス膿盆を胸の前で抱えてる。


その姿はまるで配給の食事を待って皿を持っている難民のようだ。


開いてる口の両端か血がダラダラとステンレス膿盆に流れ落ちる。痛みで涙が止まらない。死む~っ。


「よし。次」


そう言うと女医は金属製の直径5ミリ程、長さ30センチ程のパイプに管がついた機械を運んでくる。管の先にはガラスの容器が付いている。

こんな機械


「これで膿を吸い出すからね。切るよりこっちの方が痛いかも知れないけど、我慢しなさいよ」


と、切開した部分から金属の管を突っ込んで中の膿をジュブジュブと吸い出す。


容赦なくズブズブと管を上下させる女医。あまりの痛さに身を捩ろうとすると


「動かない!!!」


と怒られる。しかたなく、足をささやかにバタつかせる。


これくらいなら許してくれる?と目でお伺いを立てると怒られはしなかった。


ジュルジュル、グズグズと嫌な音が続く。ガラス容器の中に血と膿の混ざったドロドロの液体が溜まっていく。


5分程だったとは思うが拷問は永遠に続くかのように思われた。


終わったぁ。


「良く頑張りました」


女医がガーゼを手渡してくれた。


ワイシャツに血が飛び散っている。


おいおい、こんなんじゃ外で警官に呼び止められちまうじゃねえかよ。


ガラス容器の中には200ccほどの濃いオレンジ色っぽい液体が溜まっていた。


不思議に喉の傷口に痛みは無い。


「口内炎や口の中に傷があるときは生ものは避けなさいよ。体力が落ちてるときは雑菌が悪さをしてこう言うことになるからね」


と警告を受けた。


その晩、3日振りにそうめんを食べた。


皆さん。口腔内に傷があるときは絶対に生ものは食べてはいけませんよ。もし、おかしいと思ったらすぐに病院に行きましょう。地獄を見ないで済みますから。


人生60年を経て痛い話は数々、皆様の幸せの為、おいおい紹介してまいります。(笑)









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